ホンダ グレイスの魅力: コンパクトなファミリーセダン『試乗レビュー』
おすすめの人気セダン・クーペの魅力をお伝えする企画の第1弾として、ホンダ グレイス(ハイブリッド:HV)2015の試乗レビューをお伝えします。
このクルマはバジェットレンタカー愛知の新車体感キャンペーンでレンタルしました。
グレイスHVは完成度が抜群に高いクルマです。200万円前後の価格帯でありながら、おおよそファミリーカーとして求められる要素をほとんど持ちながら、スポーティな走りも楽しめる車です。
ファミリーカーとしての利便性はもちろんのこと、快適性、安全性はいずれも同クラストップレベルですし、補強されたボディやダイレクト感の優れたハンドリング、テンポの良いトランスミッション(DCT)のお陰で走りも意外と楽しめます。
また5ナンバーのコンパクトサイズなので取り回しも良いですし、e燃費のオーナーによる実燃費評価においても約22リッター(カタログ燃費は最大34.4km/L)となっており、全車中で何度もトップになっています。
当方、グレイス ハイブリッドよりも高価格帯の車にもレンタカーで50台以上試乗してきましたが、新車の中ではこれだけコストパフォーマンスの良い車には出会っていません。
本記事では、この車の良さについて詳しくご説明していきたいと思います。
PS. ホンダ グレイスの魅力をまとめた動画をアップロードいたしました。本記事と合わせて、ご覧いただければ幸いです。
グレイスの良いポイントはたくさんありますので、ひとつひとつご説明いたします。
(※本レビューは、ブログ管理人が身銭を切って車をレンタルして、感じたままのことを述べた内容となっています。)
◎ 2017年9月24日更新
目次
車内空間がとても快適
ファミリーセダンとしてまず求められるのが、大人4人が快適に過ごせる車内空間だと思います。ホンダグレイスは5ナンバー※1のコンパクトなボディにもかかわらず、大人4人が快適に過ごせる空間があります。
具体的には、フィットハイブリッドよりも室内長が約10センチメートル長く、後部座席が広々としています。ブログ管理人が深く腰かけて座ってみたら、スペースが驚くほどありました。というよりも、広すぎるぐらいです。
ちなみにブログ管理人は、日本人の標準体型ぐらいです。天井のスペースもしっかり確保されていますので、長身の方でもゆったり座ることができます。コンパクトセダンでこの広さは驚きです。
静粛性についても、価格帯を考慮すると、車の流れに合わせて走行している限りは十分静かです。街乗りで小休憩をはさんで2時間ほど運転しましたが、ほとんど疲れませんでした。
当方、100万円の車から2000万円オーバーの車まで、さまざまなタイプの車で長距離を試乗してきましたが、約200万円の車で疲れないという意味では相当良いです。
静粛性の面では、やはりハッチバックのFITハイブリッドなどよりも、トランクスペースが独立しているセダンタイプのグレイスに軍配があがりますね。
ちなみに、この車よりも静粛性や乗り心地が優れた車であれば高級セダンクラスになりますが、高級セダンは車幅が広い車がほとんどであり、それなりに気を遣うというデメリットも付いてきます。
コンパクトなこの車は取り回しがしやすく、しかも十分に快適なのでかなり気に入りました。
※1: 車幅1.7メートル以下、全長4.7メートル以下、車高2メートル以下かつ排気量2000cc以下の車
荷物がたくさん積める
5ナンバーの車の中ではかなり奥行があり広いです。ゴルフバッグ3~4つぐらい入ります。トランクスルーもあります。エンジンパワーにもある程度余裕がありますので、気兼ねなく荷物が積めます。
ホンダディーラーの営業マンによると、グレイスのバッテリーは小型であることから、トランクのスペースを上手く空けることができたそうです。そういえばアコードハイブリッドはトランク容量が小さめであるという欠点がありましたが、これを上手く克服できていますね。
それでも、ゴルフに出かけたり、荷物をたくさん積んで家族で旅行に行くことも余裕ですね。
乗り心地がフラット
足回りが柔らかく、ちょっとした路面の凹凸をフラット(平面的)に乗り越えていきます。一方でタイヤの接地感は十分にあり安心です。この程よいバランスが良いです。
また、助手席に代わってみると、走行中の乗り心地(座り心地)のよさに驚きました。後部座席もかなり広いですし、同乗者の評価が良さそうな車ですね。
私がお借りした車はDXモデルでエコタイヤを装着していましたが、ディーラーの試乗車はEXが大半でスポーツタイヤを装着しています。
スポーツタイヤの場合には、凹凸に機敏に反応しますので、ひょっとすると乗り心地が気になる方もおられるかもしれません。
足回りが柔らかめのトヨタの車も良いのですが、一人で運転する分には、個人的にはややスポーティな足回りの方が安心できます。
ブレーキ操作で気を遣わない
ハイブリッド車はいわゆるカックンブレーキになりやすいのですが、この車はブレーキ操作を意識しなくても滑らかに停止できます。
私はハイブリッド車のトヨタSAIを運転することがあるのですが、油断するとすぐにカックンブレーキになるため気を遣います。同乗者がいても気楽に運転できる点が◎です。
軽くコンパクトで走りやすい
グレイスには軽量の小型モーターが搭載されているため、ハイブリッドセダンとしてはかなり軽やかな走りを見せます。現行プリウスよりも100kg以上軽く、右左折時も軽快に曲がれます。
ゆったり運転するのも良いのですが、アクセルを踏み込んだときの心地よいエンジン音やテンポの良い加速感が癖になりそうです。
また、車幅は1.7メートル以下であるため、狭い道でも運転がし易いです。私はふだん、全幅1.8メートルの車を運転していて、取り回しで困ることはほぼないのですが、狭い道や駐車場では気を遣うシーンが出てきます。
その点、5ナンバーのグレイスは、ほとんどどこでも気兼ねなく運転できる、日本の道路状況に適したサイズ感だと思います。
ダイレクト感のある爽快な走り
グレイスには走り好きも満足できる7速DCTと呼ばれるトランスミッションが搭載されています。アクセルを踏み込んだときのダイレクトなシフトチェンジがとても心地良いです。
DCTは本格的なスポーツカーに導入されることがほとんどであり、この価格帯の車でDCTが搭載されているのはかなり珍しいです。このDCTは、初代フィットのようなギクシャクした違和感がなく、かなり洗練されたレベルに仕上がっていると思います。
スポーツモードに変更すると、エンジン音が車内に響き渡り、エンジンパワーをフル活用したハイブリッド車らしからぬ走りが楽しめます。エンジン音も4気筒の唸るような感じではなく、重厚なサウンドにモーター音が重なっていい感じです。
ちなみにDCTはMTがベースになっているため、日本の街中のように(通勤時間帯などで)低速域のノロノロ運転をしていると、クラッチが摩耗したり、故障の原因になるなど、実は耐久性には難があります。
ですが、グレイスのハイブリッドシステムでは、発進時や低速時はほとんどモーターを使用しますので、耐久性の問題を解決しています。
安定感のある加速
ホンダグレイスの1.5リッターのエンジンパワーを補うモーターのおかげで、加速が途切れることなくスムーズです。また、エンジンパワーに耐えうる十分なボディ剛性がありますので、アクセルを踏み込んでも安心感があります。
1.5リッターのエンジンを搭載した車は、たいてい60km/h以降の加速がいまいちなのですが、グレイスはそれ以降も勢いがあります。0-100km/h加速は約9秒ですね。システム最高出力は137PSです。
私は普段318psの車(レクサスIS350)に乗っていますが、加速力で不満は感じませんでした。むしろすごく乗りやすくて気に入りました。
パドルシフト付きのモデル(EX)も用意されている
オートマ車の運転は確かに楽ですが、楽すぎてときには眠たくなることもありますよね?そんなときには、パドルシフトでマニュアル操作をすると眠気も覚めます。
また、パドルシフトを使いこなせるようになると、車の運転が楽しみになります。グレイス(EX)を試乗したときには、営業スタッフの方(女性)は普段グレイスを運転されていて、パドルシフトを使いこなしているとのことでした。
わたしの普段運転している車にもパドルシフトが付いているのですが、エンジンブレーキを活用したり、お好みのタイミングでシフトアップしたりと何かと便利です。
パドルシフトの上手な使い方(操作方法)ー使用車:レクサスIS350ー
その他
<フルタイム4WDが搭載されている>
国産ハイブリッド車初のフルタイム4WDのモデルが全3グレードに用意されています。雪国や雨がよく降る地域にお住まいの方にもおすすめです。
<1クラス上のセダン>
ホンダグレイスの価格帯は195万円~221万円(FF)です。しかし、グレイスは同価格帯のセダンよりも1クラス上の走りと質感があるように感じられます。
<アグレッシブなリアのブレーキランプ>
この車の走りを象徴するリアのブレーキランプが良い感じです。この形状と似たブレーキランプの高級セダンがいくつかあり、夜間に後方から見ると高級セダンに見えます(私だけかもしれません)。
<高速道路での走行も○>
ソフトな乗り心地ですが、ボディ剛性がしっかりしているため、直進安定性にも優れています。高速道路を制限速度の100km/hで巡航した限りでは、まだ行けるぞといった感じでした。
<安全装備も充実している>
ファミリーセダンとして安全性を重視される方も多いと思います。グレイスは安全装備の面でも優れています。この車の場合、以下の3つの特徴的なシステムが、ドライバーの安全走行をサポートします。
エマージェンシーストップシグナル
60km/h以上で走行しているときに急ブレーキをかけると、非常点灯表示灯が高速で点滅し、後続車からの追突を防ぎます。後続車がいないときに実際に試してみましたが、急ブレーキというよりも、ブレーキを途中から強く踏んだ場合にも作動しました。
シティブレーキアクティブシステム
0~30km/hの低速走行時に、レーダーにより前方の車に追突する恐れがあると判断されると、衝突回避支援を行ったり、衝突を軽減するシステム
誤発進抑制機能
停車時や10km/h以下のときに、前方に障害物があるにもかかわらずアクセルを踏み込んだ場合、衝突を防止するためにエンジンパワーを抑制する機能
個人的に気になったところ
<モーター音が何かと気になる>
走行中に『ヒューン』というモーター音がなります。慣れないうちは違和感があるかもしれません。ただしばらく運転していると慣れましたし、未来チックな感じがむしろ良いです。
<Sモードのエンジン音がやや耳障りになる>
Sモード(スポーツモード)のボタンを押すと、とたんにエンジン音が室内に響き、車内の振動を感じ取れるようになります。モーターで走っていると非常に静かで振動もほとんどないため、その差から気になる感じですね。防音材でもう少し音を小さくしても良いかもしれません。
同乗者がいるときはおとなしくエコモードで走ったほうが良さそうです。
<アクセル全開時のタイムラグ>
信号待ちなどからアクセルを強めに踏み込むと、ワンテンポ遅れて発進するような感覚があります。
これはおそらく、トラスミッションに負担をかけないようにモーターメインで発進するための制御であると考えられます。
いったん走り出してからの加速力は十分にあり、アクセルレスポンスも良いです。
<EXグレードのスポーツタイヤ>
最上位グレードの標準タイヤであるダンロップ SP SPORTは、グレイスのボディ剛性をさらに強化するのに適していますが、その反面、路面の大きな凹凸を乗り越えるときに突き上げ感が大きいです。
グレイスの乗り心地は上質なので、やはり気になる人も多いと思います。もっとも、コンフォートタイヤに履き替えれば解決する問題ではあります。たとえば、ミシュランエナジーセイバー 185/60R15に履き替えれば、グリップ性能を維持しつつ、乗り心地がかなり改善されそうですね。
総評
この価格帯(200万前半)の車で、コンパクトで燃費が抜群で、乗り心地や静粛性も高くてちょっとしたスポーツ走行も楽しめる車はいまのところ見当たりません。惜しいのは、車を見る角度によってはボッテリした感じがあることぐらいです。
セダンのよさをフルに活かした、とても良い車に仕上がっていると思います。
なお、ホンダ グレイスの中古車は、カーセンサーNETのこちらのページに多数掲載されています。
ちょうど150万円を切るようになっており、新車発売の2014年12月から約3年が経つ頃ですので、中古車としては、そろそろ買いのタイミングに差し掛かっています。
以上となります。本記事が皆さまの参考になりましたら幸いです。
以下の記事もよく読まれています。
おすすめ人気セダン 2016 ~ 国産車&輸入車~ 『総まとめ編』
この記事がお役に立ちましたら応援・シェアをお願いします。皆様からのレスポンスが何よりの楽しみです。
車の購入・維持などでお悩みの方は、「車の購入費&維持費は、年収で決めない方が良い理由」もぜひご一読ください。
また、車の売却 ・ 買い替えを検討されている方であれば、リクルートが運営している『カーセンサーの一括査定』が一押しです!詳しくは、「車の買い替えを検討されている方へ」をご覧ください。
たとえ低年式の車や事故歴ありの車であっても、下取りよりも数十万円も高く売れることがありますので、まだチャンスがあります!
すごいデータ量のブログで
びっくりしました。
フィット、グレイス、シャトルの3兄弟は燃費がいいだけでなく速いっていうのがいいですよね?
ところでシャトルハイブリッドの最高出力は137psでグレイスと全く同じなんですが、表を見るとエンジン出力だけになっていると思われます。
0-100km/hって実際はどれくらいなんですかね?
グレイスと同じと考えていいと思いますか?
コメントありがとうございます!
おっしゃるとおり、グレイスHV(ハイブリッド)とシャトルHVの0-100はスペック的にほぼ同じとみて良さそうです。
フィットHVはベースグレード比で上記車両よりも100キロぐらい軽い分、0-100でも体感的に0.5秒程度速いです(レンタカーで試しました)。
この3兄弟が(加速性能について)速いかどうかにつきましては、何と比較するのかによると思います。タイム的には、ほとんどの1.5リッター(NA)のクルマや軽自動車、アクア・プリウスよりも速いです。
また排気量が大きくても、ミニバンやSUVは車両重量も重くなりますので、2.5リッタークラスでも3兄弟の方が速いケースがあります。
一方で2.5リッタークラス以上のセダン・クーペには負けるといった感じです。