ノート e-POWERで山道を試乗してきました。ワンペダル操作は感動もの?
コンパクトカーの魅力をお伝えする企画の第2弾として、日産ノート e-POWERの試乗レビューをお伝えします。
今回は「日産レンタカー」でレンタカーを借りて、芦有ドライブウェイ近辺の山道、高速道路、国道などで試乗してきました。
試乗車のグレードは、実質ベースグレードとなるe-POWER「X」(195万円)です。
また、日産ディーラーにて上位グレードの「メダリスト」にも試乗してきましたので、それとの比較もしていきたいと思います。
ワンペダル操作こそが最大の魅力?
ノート e-POWERはモーターパワーのみで走りますので実質EV(電気自動車)のようなものですが、ガソリンエンジンで発電するためハイブリッドカーのカテゴリーに入っています。
当初は最大25.9kg・mを出力するモーターの力強いトルクに魅力を感じて試乗した車ですが、ワンペダル操作こそがこの車の神髄であると感じました。
ワンペダル操作とは、基本的にブレーキペダルを使用せず、アクセルペダルの操作のみで加減速ができ、普通に走れてしまうペダル操作のことです。
ブレーキペダルに足を乗せ換える回数が激減しますので、運転がとても楽になり、疲れの軽減にもつながります。
ノート e-POWERには3種類のドライブモードがあり、通常のCVT車と同じような運転感覚の「ノーマルモード」に加えて、「ECO」と「Sモード」があります。
ECOとSモードでは、アクセルペダルを緩めていくと回生ブレーキが徐々に効いていき、車が完全に停止するまで滑らかに減速させることができます。
ブレーキペダルを強めに踏むのと同じぐらい強烈な減速Gを発生させることができるため、緊急時を除いて、街乗りではブレーキペダルに足を乗せる必要がほとんどありません。
加減速が直感的に行えることで、ドライバー側は前方確認やハンドリング操作などに集中でき、安全性の向上やドライバーの負担軽減につながります。
これにスカイラインハイブリッドのDAS(ダイレクト・アダプティブ・ステアリング)で直感的なハンドル操作が加われば、運転がさらに楽になりそうです。
ちなみに減速Gがどれぐらい強いのかについては、0-60 km/hまでの加減速Gを公開されている方の記事が参考になります。
ワンペダル操作の安全性はどうか?
ワンペダル操作を初めて使用すると、アクセルを緩めたときの強い減速Gに驚くかもしれませんが、慣れてくると滑らかに減速できるようになり、ブレーキペダルで減速するよりも楽なことに気が付きます。
特に、ブレーキペダルの操作でよくあるカックンブレーキ対策が不要(停車直前にいったんブレーキペダルを緩める操作)なのが好印象でした。
またブレーキペダルを緊急用として分けて操作できますので、アクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違えによる事故が減る、といった効果も期待できます。
ブレーキランプは減速Gがある程度かかると点灯しますから、ふだんどおり減速する分には安全性の面でも安心です。
(※ワンペダル操作で停車した場合、停車後はしっかりとブレーキをかけておくために、ブレーキペダルを踏んでおくのが安全です。)
パワー感はどれぐらい?
公式サイトによると、ノート e-POWERの加速感は2リッター・ターボ相当とのことですが、モーターのみで駆動する車の加速感は何とも表現し難い爽快感があります。
ノート e-POWERの正式な0-100 km/h(停止状態からのフル加速で時速100キロに到達するまでの時間)のデータは今のところ無いようですが、YouTubeで公開されている加速テストデータを元にしたこちらの記事のデータによると、おおよその0-100 km/hは7.5秒~8.5秒であると推定できます。タイム的には、フィットハイブリッドと同程度ですね。
ただノート e-POWERはフィットHVと違ってモーターのみで走りますから、瞬時にトルクが発生する分、体感的にはもっと速いです。
特に停止状態から時速40~60キロまでの到達スピード感は相当良く、街中での常用速度域ではかなり速い部類のクルマであると言えます。
着座位置の低いスポーツカーのようなスピード感こそありませんが、落ち着きのあるスムーズな速さがあり、加速発進時にアクセルを少し踏んだだけで、いつの間にか周りの車を大きく引き離しているようなイメージですね。
コンパクトカーでこの加速力ですから、EVの世界は非常にロマンがありますね。ディーゼルターボもトルクはとても太いのですが、アクセルを踏み込んでから力強いトルクが発生するまでのタイムラグが大きく、ガソリン車と比べて振動が気になる方も少なくないはずです。ゆえに加速感・スムーズさ・快適性のいずれにおいてもEVに軍配が上がります。
ニスモのグレードはさらに加速感があるそうですが、体感的にはノーマルグレードでも十分に速いです。
ニスモにつきましては、以下の動画が参考になります。エンジン音もノーマルと違いますね。
時速60キロぐらいからの加速については、トルクが落ちてくる分、0-100で同タイムの2.5リッターNA車や2リッター・ターボ車のほうが速いはずです。
0-100 km/hについて詳しく知りたい方は、私の方で動画とデータを集めた「国産車・輸入車の0-100km/h加速」をご覧いただければと思います。
山道でも楽に走れる?
強力なモーターパワーとワンペダル操作の組み合わせは、山道での運転でも強みを発揮します。
急な上り坂でも加速性能は素晴らしく、Rのキツイカーブが続く道でも、立ち上がりからトルクがありますから、とてもスムーズで軽快に走ります。
ただし登り坂が続くような道では、エンジンが常時発電の状態となり、平地走行と違ってエンジン音が常に耳元に入ってくるのが欠点であると感じました。
今回の試乗車はベースグレードでしたが、e-POWER メダリスト(224万円~)の方は静粛性が高められており、実際にディーラーで試乗してみたところ、ロードノイズやエンジンノイズ音の静かさはメダリストの方がやや上のように感じました。
下り坂では回生ブレーキが強く効くお陰で、ブレーキペダルを踏むことなく走れてしまいます。コレはさりげなく便利です。ブレーキパッドも消耗しなくて済みます。
ワインディングでのハンドリングについては、さすがにファミリー仕様のベースグレードなだけあって、シャープさがなく、ワンテンポ遅れて車体が付いてくる感じでした。
そこはニスモで対応、ということで、ノーマルの方はエコカーらしく走るのがベターですね。
もちろんノーマルのグレードであっても、街中での制限速度+α程度の運転では十分な旋回性能があり、ノロノロ運転で後続車がイライラするといったことはなさそうです。
高速走行はどうなのか?
まず時速100キロぐらいまでは速い部類に入りますので、高速道路での合流は楽々です。以降は徐々に加速しなくなっていきますが、飛ばす車ではありませんので、実用的にはこれで十分ではないかなと思います。
静粛性については、e-POWERのグレードXの場合、速度が上がってくると、エンジン音よりもロードノイズが勝るようになり、エンジン音が打ち消されるような感じになります。
このためハイスピード気味でもエンジン音が気になる方は少ないのではと思います。
ただこの車の特性上、速度を上げるほどエコカーとしての燃費効率が悪くなりますので、走行車線で車の流れに合わせて走るのがベターですね。
快適性にこだわる方であれば、ロードノイズの小さいコンフォートタイヤに履き替えるのが良さそうです。
街乗りはどうか?
山道から帰ってきて、バッテリーがフル充電された状態で国道を走ってきましたが、EVと変わらない静かさで落ち着きがありました。
発電中のエンジン音は、強く加速しない限り、ほぼロードノイズに打ち消される形となっています。
メダリストのグレードでは、追加で6つのきめ細かな側面の遮音対策が施されています。
ノーマルグレードのe-POWERは、スッキリとまとまった実用的なクルマ、といった印象でした。
安全装備やグレードのオススメはどれ?
ノートは5ナンバーのコンパクトサイズで後方以外の見晴らしは良いので、取り回し自体は楽です。
これにインテリジェントアラウンドビューモニターが加われば、車両側面から後方までをしっかりカバーでき、駐車場でのバックはもちろんのこと、見通しの良くないところでの運転が楽になります。
特にペーパードライバーに近い妻が気に入っていたのが、サイドブラインドビューであり、左側のサイドミラーに設置されたカメラの映像により、幅寄せが簡単にできてしまいます。
ボディ側面をこすったり、ぶつけたりといったケースが格段に減るのではと思います。
グレードのオススメは、スポーツタイプ好きの方はニスモ、近場のドライブがメインの方はXで十分であると思います。
通勤などで年間走行距離が多い方であれば、より静粛性の優れた「メダリスト」の方がオススメです。
ただメダリストでもロードノイズは大きいので、タイヤ交換の際にレグノやミシュランのタイヤに履き替えるのがオススメです。
e-POWERの中古車は、さすがに販売台数が多いだけあって、新しくても玉数は豊富です。
⇒ ノート e-POWERの中古車一覧(カーセンサー.net)
総評
ノート e-POWERのワンペダル操作やエンジン音に焦点を置いて、運転感覚をお伝えしました。
個人差はあると思いますが、ワンペダル操作自体はスグに使える実用性があり、特性もつかみやすいです。
おおよそ4時間の試乗で走行中にブレーキペダルを踏んだ回数はわずか4~5回※であり、非常に便利な機能なのは間違いないです。
(※交通状況や運転の仕方により、個人差があると考えられます。)
ワンペダル操作に近い運転ができる車としては、現時点ではアウトランダーPHEV(365万円~)やBMW i3(499万円~)が挙げられますが、これらは高級車クラスになりますから、購入できる方が限られてきます。
今後、ノート以外にもe-POWERのモデルが発売されていくでしょうから、今後の日産車には目が離せませんね!
このノート e-POWERは、ボディサイズ・燃費特性を考慮すると、街乗りがほとんどの方にオススメで、実燃費の面でも満足いくのではと思います。ちなみに試乗中は平均燃費が21.5 km/lと表示され続けていました。
この車のJC08モード燃費は、エアコンやパワーウィンダウ無しのカタログ的なグレード「e-POWER S」の37.2 km/lを除けば、実質34.0 km/lです。
e燃費のハイブリッドカーの燃費達成率を見ると、おおよそカタログ燃費の55%から65%が実燃費となることがわかります。
ノート e-POWERは実燃費は、モーター走行のみという特性上、高速域での走行をどれぐらいするのか、に大きく依存すると考えられます。
e燃費のオーナーによるノート e-POWERの実燃費データをチェックしたところ、一般道ではリッター20キロを軽く超えるようですので、燃費走行も一つの楽しみになるかと思います。
全幅約1.7メートル、全長4.1メートルのコンパクトサイズは取り回しの面でも便利ですし、EVのように充電を気にすることなく、買い物などで気軽にお出かけすることできます。
惜しいのは、この革新性を持った車が、どちらかといえば年配の方向けの内外装デザインで発売されたことかもしれません。
でも裏を返せば、一見普通に見えるこの車が、5ナンバーのコンパクトクラスの車の中で飛び抜けて優れた発進加速性能を持つところが面白いですね!
この車が気になった方は、ぜひディーラーで試乗してみてください。とても面白いクルマです。また日産レンタカーで借りて、高速試乗や遠出の感触を確かめるのもオススメです。ワンペダル操作を体感したことがない方は、ぜひトライしてみてください。
レンタカーは基本的にエントリーグレードの車となりますが、自由に乗り回すことができるのが大きな強みです。ちなみに日産レンタカーの6時間レンタルの場合、免責補償の1,200円を付けて合計7,144円でした。
本記事が皆さまの参考になりましたら幸いです。
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