日産 R35 GT-Rのレビュー:日本が世界に誇るピュア・スポーツカーの実力に迫る!
人気セダン・クーペの魅力をお伝えする企画の第6弾として、世界最高峰のマルチパフォーマンスカーと言われている、日産GT-Rのレビューをお伝えします。
日産GT-Rは海外では「ゴジラ」の名称でも呼ばれており、その圧倒的な走行パフォーマンスとポテンシャルから、独自チューニングも盛んに行われています。
現行のR35 GT-Rを手短かに表現すると、「約1000万円から新車購入でき、スーパーカークラスの公道で走れるレーシング・スポーツカー」です。
実際、GT-Rと同等のパフォーマンスのスポーツカーとなると、一部のライバルカーを除いて、2500~3000万円近くまで車両価格が跳ね上がります。
パフォーマンス特化ゆえ、街乗りにおいて「重い&路面の凹凸にやや弱い」という欠点もありますが、いまだに世界最高峰のパフォーマンスカーであることは間違いありません。
本記事では、GT-Rが初めての方もおられると思いますので、基本的なところからご説明していきます。
(2017年7月6日更新)
(R35)GT-Rとは?
現行GT-Rは、開発責任者である水野氏の元、スーパーカークラス(3000万円~5000万円が相場)の性能を超える車を目指して開発されました。
しかも中間層の人々が買えるように開発されたこともあり、2007年12月にはスーパーカーと同等のベースモデルがわずが777万円の車両価格で販売されました。
現行GT-Rは、数々の偉業を達成している車です。有名どころでいえば、
- 世界最難関クラスのレース場であるニュルブルクリンクで、量産市販車最速の7分8秒を記録。
- 時速304.96キロの世界最速ドリフト記録を達成。
などが挙げられます。
また、数々のドラッグレース(直線加速を競う競技)でチューニングされたGT-Rが世界記録を打ち立てています。
GT-Rはどこが凄いのか?
R35 GT-Rの開発が始まった当初、車を速く走らせるためには、とにかく車両を軽量化することが優先事項でした。
そんな中、GT-Rの開発方針として、軽量化にはこだわらず、路面にエンジンパワーを最大限に伝えることが優先されました。
つまりGT-Rは当時の常識を覆すスポーツカーだったわけです。
今でもスーパーカークラスの車と比べると、GT-Rの車両重量はかなり重い方です。たとえばGT-Rのベースモデルである「ピュアエディション」は1740キロですが、ランボルギーニ ウラカンは1422キロ、フェラーリ 458 イタリアは1380キロです。
この重量差ははっきりと体感できるレベルであり、GT-Rで街中を運転していると、動きが重いように感じる方も多いと思います。
一方、限界性能の面でいえば、GT-Rは2500万円~3000万円クラスのスーパーカーと対等あるいはそれ以上の性能を発揮します。
GT-Rはトラクションコントロールが抜群に優れています。わかりやすくいえば、「GT-Rはエンジンの動力性能を最大限に活用するように設計されている」ということですね。
このため、GT-Rは発進加速が抜群に速くて安定しており、ゼロヨンの競技でもベース車両としてよく使用されています。
代表的なのがApla Omega GT-RやEkanoo Racingであり、2000馬力を超えるほどのチューニングが施されることもあります。
日産GT-Rの性能
北米自動車メディア「Motor Trend」で公開されているさまざまなスポーツカーのテストデータを元に、GT-Rの凄さについて見ていきましょう。
GT-Rはベースモデルの「ピュアエディション」(2016年モデル)で最高570馬力、最大トルク65.0kg・m/3300~5800rpmを発揮する3.8リッターのV6気筒ツインターボ付きエンジンを搭載しています。
これよりもパワフルなエンジンを搭載したスポーツカーはそこそこあります。
例えば、フェラーリF12ベルリネッタの741馬力、コルベット Z06 RSの659馬力、マクラーレン 650Sの650馬力、アウディR8プラスクーペの610馬力、911 ターボの580馬力などがあります。
ところが、GT-Rのエンジンパワーをフルに発揮するトラクション性能は格別です。
停止状態からのフル加速では、時速100キロまでわずか2.9秒で到達します。街中で迂闊にアクセルをべた踏みできないレベルです。
0-100km/hで2秒台に到達する車は数少なく、ランボルギーニ ウラカンで2.8秒、ホンダ NSXで3.0秒です。詳しくは、「国産車・輸入車の0-100km/h加速 etc.!」をご覧いただくと理解が深まると思います。
街中の1.5リッター相当の車がフル加速で10秒前後ですから、相当なレベルであることがわかります。
約1500万円までの車で停止状態からの加速でGT-Rと対抗できるのは、電気自動車のテスラ モデルS P90D(ルーディクラス,総額約1500万~)ぐらいです。
ちなみに最高600馬力のニスモモデル(約1500万円~)は0-100において2.6~2.7秒を記録しています。
以下は、GT-Rの加速性能を示す動画です。
最高速については、アウトバーン(制限速度が無制限の区間が存在するドイツの高速道路)で300キロを超えます。
こちらの動画は、アウトバーンで時速291キロまで加速しているシーンです。1分頃から始まるシーンでは、助手席に座っているような感覚を体感できます。
日本では(法的に)これだけ飛ばせるのはサーキットぐらいですが、高速道路で安全を確保できるところでアクセルひと踏み、というのもロマンですよね。
GT-Rはトラクションが優れていることもあり、ゼロヨンで世界記録を更新したり、時速400キロを超えるようなチューンドアップカー(改造車)も存在します。
GT-Rは加速性能だけでなく、旋回性能やブレーキング性能もスーパーカークラスです。
Motor Trendの旋回テストでは、2015年度のGT-Rのニスモモデルで22.9秒を記録していて、横Gは1Gを超えます。
旋回性能については、基本的に車両重量が軽いほうが有利なのですが、それでも世界トップクラスの性能なのが凄いですね。
時速96.56キロからのフルブレーキテストでは、2014年度のGT-R(Black Edition)で94フィート(28.6メートル)を記録しており、こちらもスーパーカークラスです。
また、GT-Rはドイツの難関レース上であるニュルブルクリンクにおいて、2013年に量販市販車最速の7分8秒をマークしています。
同カテゴリーの記録は、2017年7月の現時点で「ウラカン ペルフォマンテ」、「アヴェンタドール SVR」、そして「918 スパイダー」などに抜かれているものの、価格的にはかなりの差があります。
さらには、最新の超高性能スポーツカーであるメルセデス AMG GT-R(2017年モデル)の7分10秒や、ポルシェ911 GT3(2018年モデル)の7分12秒すら未だに凌ぐ凄さです。
以下は世界記録を達成したときの動画です。あまりにも速くて、観ているほうが緊張しますね。
記録を達成したのはニュル専用パッケージ付きのニスモモデルであり、日本でも同じ仕様の車を購入することができます。
最近のニュースでは、時速350キロのトップスピードからドリフトして、時速304.96キロという驚異的なスピードでドリフト世界最高速を更新しています。
ライバル車との比較
ここでGT-Rと代表的なスーパーカーの走行性能を比較してみましょう!
以下の表は、約1000万円のGT-Rと2500万円~3000万円台までの最近のスーパーカーの走行性能を示したデータです。
車両価格 | 0-60 mph | Figure-8 time | 60-0 mph | |
GT-R ブラックエディション(2013) | 993万円 | 2.8秒 | 23.0秒 | 32メートル |
ランボルギーニ ウラカン LP 610-4(2015) | 2970万円 | 2.8秒 | 23.0秒 | 31.7メートル |
フェラーリ F12 ベルリネッタ(2014) | 3730万円 | 3.6秒 | – | 32.3メートル |
ポルシェ 911 ターボ S(2015) | 2599万円 | 2.7秒 | 22.9秒 | 29.9メートル |
マクラーレン 650S スパイダー(2015) | 3400万円 | 3.0秒 | 23.0秒 | 32.0メートル |
- 0-60 mph:停止状態からのフル加速で時速96.56キロに到達するまでの時間(≒ 0-100km/h)
- Figure 8:8の字コースで高速旋回性能を測るテスト。
- 60-0 mph:時速96キロからのフルブレーキで完全に停止するまでにかかった距離
ベース価格が1500万以上も違う最新スーパーカーと比べても、同等の性能を有していることがわかりますね!
エクステリア&内装
GT-Rのエクステリアは、ゴジラと呼ばれるだけあって迫力満点です。物凄く頑丈そうです。そして稲妻をモチーフとしたヘッドライトが、GT-Rにピッタリですね!
リアのテールランプは、スカイラインGT-Rの形状を引き継いでいます。
サイドウィンドウの形状が三角形になっているのが特徴的です。遠目からでもGT-Rであることがはっきりとわかります。
写真はニスモモデルですが、ベースモデルについても実車はさらに迫力があります。
内装については、スポーツカーらしくシンプルなつくりになっています。運転席に座ってみると、いかにもこれからレースが始まるかのような気分になります。
同価格帯の高級車と比べるとさすがに内装の高級感は見劣りしますが、レーシング・スポーツカーとしては申し分なしですね。
GT-Rはいちおう4人乗りですが、後部座席は非常にタイトなため、ほぼ緊急用です。ただ普段は荷物置きとして利用できますので、2シーターのスポーツカーと比べると何かと便利です。
トランクスペースは奥行きはあまりないものの、315Lの容量があり、割と深みがあります。サイズ的には標準サイズのゴルクバックが2つ入るぐらいです。
後部座席も荷物置きにできることを考慮すると、スーパーカークラスの車としては荷室スペースが結構広いですね。
またGT-Rはドアが大きく乗り降りが容易で、運転席や助手席のシートの包み込み感はかなり良いです。
総合的にみると、高級感という意味では同価格帯のスポーツカー(たとえばジャガーFタイプ、アウディS5、レクサスRC Fなど)と比べても乏しいものの、独特の迫力があるエクステリアや、荷室スペースが割と広いところは良いですね。
GT-Rの欠点
GT-Rは、基本的にはレース場を主として、高速道路や国道など、路面のほとんどがフラットであるところで走ることを前提に設計されています。
このため、街中の路面が荒れたところでは、凹凸や轍で足がとられることが多々あり、落ち着いて運転しにくいという欠点も抱えています。
ただ2014年度バージョンからは街乗りでの快適性を強化した作りになっていますので、路面の荒れた道を走る方や、街乗りの時間が多い方であれば、2014年度以降のモデルがオススメです。
路面の凹凸をある程度しやなかにいなす、「コンフォートモード」も用意されています。
それともう一点、知っておきたいことがあります。それは「街乗りでの運転の楽しさ」です。
GT-Rは「誰でもスポーツ走行を楽しめるスポーツカー」をコンセプトにつくられており、特にレース上において限界性能を引き出しやすく、高速走行を楽しめる車に仕上がっています。
またトラクションを最大限に活かすために、あえて軽量化にはこだわってつくられていません。
一方、街乗りについては、やはり重いことがネックになりますし、凹凸や轍に足がとられやすいという欠点もあります。
このため、街乗りや峠道で運転を楽しみたいという方であれば、個人的にはポルシェ ケイマンやアルファロメオ 4Cなどのライトウェイト・スポーツカーも選択肢に入るかと思います。
GT-Rは、世界最高峰クラスのスポーツカーとして、高剛性ボディかつ限界性能がとびぬけて高い車を所有する満足感や、高速ワインディングや見晴らしがよいところでの抜群の加速感を楽しんだりする車だと感じています。
GT-Rの進化
GT-Rは、毎年改良が加えられています。まずは Motor Trend のテストデータ(参照元)から抜粋したデータをご覧ください。
年式 | 馬力(HP) | 0-60 mph | Figure-8 time | 60-0 mph |
2009年モデル | 480 | 3.2秒 | 24.3秒 | 32.0メートル |
2010年モデル | 485 | 3.5秒 | 24.4秒 | 31.4メートル |
2011年モデル | 485 | 3.5秒 | 23.7秒 | 30.2メートル |
2012年モデル | 530 | 2.9秒 | 23.3秒 | 30.8メートル |
2013年モデル | 545 | 2.8秒 | 23.0秒 | 32.0メートル |
2014年モデル | 545 | 2.7秒 | 23.0秒 | 28.6メートル |
2015年モデル | 600 | 2.9秒 | 22.9秒 | 29.6メートル |
2016年モデル | 545 | 2.9秒 | 23.5秒 | 31.4メートル |
※2014年度はトラックエディション、2015年度はニスモモデルです。
2012年度は馬力が大幅アップしていて、加速性能と旋回性能が大きく向上しています。
2014年度以降は、ニスモモデルでは性能面をとことん追求し、ベースモデルでは街乗りでの快適性を重視した「大人の乗り味」を目指して開発が進められています。
来年度の2017年モデルは、R35 GT-Rの集大成となる最終モデルとして、走行性能の向上、快適性や内装の質感、エンジンサウンドの向上などを含めた総合的なアップグレードとなります。
ベースモデルは、570馬力までパワーアップすることになり、エクステリアに空気抵抗を下げるパーツが取り付けられ、足回りも強化されます。
ただ様々な自動車メディアのテスト走行などから、ニュルで世界記録を達成した2015年のニスモモデルから、GT-Rはパフォーマンス面では伸びていません。
GT-Rは、そもそも2009年モデルの時点で優れた性能を有しています。以下はGT-R スペックVのタイムアタックですが、筑波で1分2秒中盤のタイムを叩き出しています。
GT-Rの特色といえば、超高性能のドイツ車ですら圧倒するパフォーマンスにあると思いますので、スポーツカー業界を盛り上げるような、もうひと押しが欲しいところです。
2017年モデルにつきましては、以下の動画が参考になります。
まとめ
日本が世界に誇るハイパースポーツカーのGT-Rをご紹介しました。
現行GT-Rは、フェラーリやランボルギーニなどのGT-Rが2台以上買えてしまうスーパーカーと同等の性能を有していることがおわかりいただけたかと思います。
これだけの高性能スポーツカーを新車価格で1000万円から、中古車であれば現行モデルのR35の場合、500万円程度から購入できてしまいます。
2009年モデルの時点ですでにスーパーカークラスの性能がありますので、500万円で程度の良い個体を見つけられればかなりお買い得と言えるかと思います。
しかも国産で身近にメンテナンスができるというのは、日本に住んでいる時点で大きなアドバンテージになります。
街乗りにはいまだに難があるものの、最高峰のハイパフォーマンスカーに惹かれるものがあり、高速道路や国道などの広い道やフラットな道をメインに走る方に特におすすめできます。
GT-Rが憧れの国産スポーツカーとして、今後も驚くべき進化を遂げていくかどうか、楽しみですね。
以上となります。本記事が皆さまの参考になりましたら幸いです。
GT-Rの中古車一覧(カーセンサー.net、コミコミ約500万円~)
以下は1人称視点でのGT-R(2015年式)のドライブシーンです。GT-Rを購入予定の方には必見です!
こちらの動画は、2017年式GT-Rのドライブシーンです。
またこちらの動画では、2017年式のGT-Rでアウトバーンを走行しているシーン(MAXで時速319キロ)が公開されています。
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